2014年 09月 05日
韓国研修 その3 |
研修2日目です。今日はソウル市内の病院をひたすら見学しました。
日本でもスギ薬局などで時折見かけるケースですが、この病院は左が院長(経営担当)、右も院長(診療担当)で院長が2人いるのが特徴です。 医療レベルの上昇に伴い、必要な医療機器も高度化しており、開業資金が高騰しています。その影響で、最近韓国では獣医師が何人か一緒に開業して共同経営するのが一般的です。 開業当初は院長2人で12時間交代、24時間診療年中無休だったとのことで、大変な苦労をされたとのことです。 続いてソウル市内の建国大学へ向かいました。韓国は10の獣医学部を持つ大学があり、このうちソウル市内にはソウル大学(国立)と建国大学(私立)があります。大学での研修医の時にお世話になった李秀貞(Lee Soo Jung)さんとお昼をご一緒させていただきました。 建国大学獣医学部で教授の李禎翼先生です。建国大学獣医学部と研修生の相互受け入れや症例相談などの提携に関する覚書(MOU)を締結しました。
大学病院の様子です。研修医や学生が非常に多く、人材が充実している感を受けました。 毎年50名程度獣医師を輩出しているそうです。
続いて、ソウルの富裕層の方が多く居住している江南地区にある病院The GRACE ANIMAL MEDICAL CENTERを訪ねました。
江南地区は地価が非常に高く、マンションは安いところでも8000万円くらいします。学習塾や成績の良い学校が多数江南地区にあり、教育熱心で裕福な親が住み始めたのがきっかけとのことです。
トリミングは全部の犬についてカット後獣医師が検診をしてチェックしています。セレブな方相手ということで、どれだけ時間をかけて丁寧に、ゆっくり見るかを心がけているそうです。トリミングも非常に高価で、一番小さな犬種のシャンプーカットで8000円!です。 画像等は拡大でモニタに表示でき、飼い主さんと病気について詳細なインフォームドコンセントが出来るようになっています。
最後に、ソウルで1、2を争う規模の病院のRoyal Animal Medical Centerを訪問しました。この病院はソウルで2件しかない完全ICU(獣医師が24時間態勢で入院を専門で管理)を持っています。非常に規模が大きい病院です。
ICU室です。ICU専属の獣医師は8名在籍しており、人間と同様24時間常に獣医師が入院管理を行っている状態です。ICUは全部で14部屋ありますが、常に万床状態です。日本では珍しいセントラル管理モニタもあります。 処置室の様子です。獣医師は全部で13名、その他のスタッフを合わせると全部で40人の組織です。もちろん深夜の救急も随時診察可能です。
日本では最近ようやく使われるようになったLocking plateですが、韓国は日本で主流のLCP(synthes社)ではなく、韓国のメーカー独自で開発したLocking plateを使用しているそうです。従来のLCPと比べて費用も安く、術後の予後も評判がよいため今はこのオリジナルプレートが主流です。
画像診断装置(エコー、CT)です。CTやエコーは大学病院の装置よりも性能がいいものを使っています。将来MRIも導入予定ですが、韓国でも日本のキャミックのように画像診断のみを専門で行う病院があるそうで、装置を所有していない先生はみなこの検査センターに送るということでした。
最後に、チェ先生と食事し今日は終了となりました。この場を借りて2日間ずっと病院を案内してくれたチェ先生に心から感謝申し上げます。
夜の東大門市場です。市場では深夜も服屋や飲食店が開いており、明洞と並ぶ若者のナイトスポットです。
獣医学部入学の難易度は年々あがっています。
眼科専門室です。専門医が常駐し、詳しい診察が受けられます。
手術室の様子です。SonoCureやTTA setなど、高価で導入が難しい装置も積極的に導入しています。これらの機械は、日本でも持っている病院は1%程度だと思います。
毎回研修で感じますが、どの国でも最前線では志の高い獣医師が寝食を惜しんで努力しておられるのを肌で感じ、自分自身への大変な励みになっております。
日本も獣医業界全体が常に研鑽に励み、自省して改善していかなければ、いずれ韓国やタイなどのアジアの国に獣医医療レベルを追い越されてしまうのではないかと思います(むしろ、24時間営業などの点では既に先を越されているとも言えます)。
以上、韓国研修旅行の報告でした。
by info-dpc
| 2014-09-05 02:37